ITにおけるドメイン設計とは?Yahooエンジニアが詳しく解説
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ITにおけるドメイン設計(Domain Design)とは、システムやソフトウェアを設計する際に、その対象となる業務領域や問題領域(ドメイン)を分析し、それに基づいて設計を行うプロセスを指します。これにより、システムが現実の業務や要件を的確に反映し、効率的かつ効果的に機能するようになります。
ドメイン設計の概要
- ドメイン:システムが扱う特定の業務領域や問題領域のこと。
- 例: ECサイトであれば「商品管理」「注文処理」「在庫管理」などがドメインに該当します。
- 目的:ドメインの特性を深く理解し、その構造やルールをシステム設計に取り入れることで、ビジネス要件を満たすソフトウェアを開発する。
主なプロセス
1. ドメインの理解
- 関係者(ビジネス担当者、顧客)とのヒアリングや観察を通じて、業務や問題領域の特性を把握。
- 例: 在庫管理では、「商品はどのように追加されるか」「在庫切れ時の対応はどうなるか」などを理解します。
2. 概念モデルの作成
- 業務やドメインに関連する概念やエンティティ(例: 商品、顧客、注文)を洗い出し、それらの関係性を図やモデルにまとめます。
- 例: UMLのクラス図やER図を作成して、エンティティ間の関係性を可視化。
3. 境界の設定(Bounded Context)
- ドメインをいくつかのサブドメインに分割し、それぞれの責務や関心を明確化。
- 例: 「在庫管理」と「顧客管理」を分けて設計することで、関心の分離を実現します。
4. ルールやロジックの定義
- ドメイン固有のルールや業務ロジックを設計に組み込む。
- 例: 割引計算のロジックや、在庫不足時の通知ルールを明確化します。
5. 設計への反映
- ドメインの知識をソフトウェア設計に反映し、エンティティやサービス、リポジトリなどの形で実装します。
ドメイン設計のメリット
- 要件を的確に反映
- ビジネスロジックや業務要件がシステムに正確に反映されやすい。
- 変更に強い設計
- 業務や要件の変更が発生しても、柔軟に対応可能。
- チーム間の共通理解を促進
- ドメインモデルを共有することで、ビジネス担当者と開発者の間で共通の認識を持てる。
ドメイン駆動設計(DDD)との関係
ドメイン設計は、**ドメイン駆動設計(Domain-Driven Design, DDD)**の一部ともいえます。DDDは、複雑なドメインを扱う際に非常に有効なアプローチで、以下のような概念や技術を含みます:
- エンティティ、値オブジェクト、サービス
- リポジトリパターン
- ユビキタス言語(Ubiquitous Language)
- 境界づけられたコンテキスト(Bounded Context)
まとめ
ドメイン設計をしっかり行うことで、システムが業務に寄り添い、効率的で拡張性の高い開発が可能になります。具体的な状況やシステムに合わせて、適切な手法を取り入れることが重要です。